お客様探訪
第14回 株式会社 根菜倶楽部
乾式自動皮むき装置 食器・器具・グラス洗浄機 スチームコンベクションオーブン 微酸性電解水生成装置
2014年6月14日取材
毎回、徳尾商事の商品をご使用いただいているお客様を訪ねる【お客様探訪】
今回は茨城県古河市で業務用野菜の一次加工、二次加工をしている 株式会社根菜倶楽部様です。
取締役の神田さよさん、工場長の吉田照さんにお話しを伺いました。
大根を作りながらおでんの大根もやろう
ワンダーファーム理念
カット野菜の工場で品質管理の仕事をしていたときに、現在もお客さんでもある埼玉県川口市の株式会社蒲一さんの社長さんとの出会いがあったんです。
「おでんの大根おもしろいよ」と。
その社長さんは北海道で大根を作ったことがあって、その北海道で谷が埋め尽くされるほどの捨てた大根を見たんですって。
大手企業が撤退するときに見た光景だそうです。
農業に興味のある自分たちに「大根をやってみないか」と声をかけられ、当時工場長だった石毛社長と他の何名かとともに「大根を作りながらおでんの大根もやろう」と、平成19年に起業しました。

やがて大根だけではやっていけないということがわかってきて、前職の経験を生かし、カット野菜を手掛けることにしました。

現在農業はワンダーファームという別会社にして、そこでは大根とカブを作ってます。
こういう仕事は女性のほうが向いてる


工場内では女性の力がかかせない
今までの工場と新工場と25名ずつくらいで、全体で50名ほどでが働いてます。
そのうち9割が女性ですね。男性には申し訳ないんだけどこういう仕事は女性のほうが向いてると思ってます。
女性の忍耐力、継続力、コツコツやるという面で助かってるんです。
女性でも力仕事はできるんですよ。
以前は求人で20kgまで持てる人が条件だったんですよ(笑)。
はじめは15kgでも大変ですけど、だんだんみなさん力もつくしコツを覚えるんで、自然と20kgも持てるようになるんですね(笑)。
その女性たちに支えられてますね。
工場はみんなが動かないと回らないんですよ。生産工場はそこが基本ですから。社長も「人参入れてください、剥いてください」と声掛けしていかないと工場は回らないんです。生産工場の原点はパートさん達なんです。ひとりひとりが会社を回すための歯車みたいなんですね。ひとつ欠けてもいけない。
パートさん達に支えられ、パートさん達に勇気づけられたりと工場はパートさん達に守られてますね。
アイテムはたくさんあります
工場では皮を剥いたりの一次加工、機械でカットしたり千切りしたりの二次加工、これからはそれを熱処理するなどの加工をする準備をしているところです。
生食のスーパーに並ぶような商品も一部ありますが、ほとんどが業務用の商品です。
その中で一番多いのが人参、それからじゃがいもですね。他にはゴボウ、大根、玉ねぎ、細かいところでは、グリーンリーフとかキャベツ、ネギ、長ネギですね。生野菜をホールで出すものもあります。
納品先はスーパーのお惣菜工場が多くて、その他にはお弁当屋さんですね。あとは病院食、療養ホームの納入業者もあります。
病院食だったり介護食は、「こういうものができないか、ああいうものができないか」と季節ごとにいろいろアイデアをくださったり「ああしましょう、こうしましょう」とお互いに言いながら新しい商品を作っていってます。
さつまいもひとつとっても、いろんな企画を提案して作り上げていくので、アイテムはたくさんあります。
作業効率と衛生を考えられた工場内
安い原料を使っていいものを作る


丁寧に説明される神田取締役
茨城は全国で三番目の農業地域だと思うんです。北海道、千葉、茨城の順です。千葉と茨城では同じ野菜でも値段がちょっと違って茨城のほうがちょっと安いんです。だからうちのような加工工場は自然と茨城のものが集中してくると思います。安い原料を使っていいものを作るというのが加工屋さんなんです。季節によって無いものは北なり南なり、旬のものだったりとかを使います。キャベツ、白菜などの葉物系の7割くらいは地元のものですね。
社長は思いを持った方なんです
社名は社長が甥っ子さんに会社を始めるときにどんな名前がいいか聞いたらしいんです。
すると「おじさん、根菜倶楽部ってどう?」と言うので意味を尋ねると「根菜っていう野菜は土の中に根を張ってる野菜なんだよ」と言ったそうです。
根菜は根を張って表に見えないのが強み。少しの風でも倒れない。葉物だったら風が吹いたり、台風が来れば被害は受けますけども根菜は意外と強いものなんですよね。それで根菜倶楽部という名前になったと社長からは伺ってます。
「ああ、なんか深い意味だな」と思いました。
でも最初の頃は電話で「交際倶楽部」って聞こえたらしいです(笑)。

社長は思いを持った方なんです。社名もそうですが、会社の入口に飾ってあった写真があったんです。中村不折という方の「卞和(べんか)璞(たま)を抱いて泣く」という中国の故事につながる油絵の写真なんですが、社長がひとつの自分の信念にしている絵なんです。
私の田舎が長野県の高遠町なんですけど、そこの小学校の玄関に掛かってた油絵だったんです。
根菜倶楽部の根の深い話を聞いたときに、似たような話でその絵の事を思いだして社長に「私の田舎にこういう絵があるんだけども見に行きますか?」と持ちかけたら、会社を始めるころに高遠の美術館に見に行ったんです。

その絵は深い意味があって・・・
卞和(べんか)という男が宝石を抱いて壁を背にして石の階段に座って泣いてるんです。他の人が見るとただの石なので、後ろからお前は嘘つきだと指を指してるという絵なんです。
卞和(べんか)はこの石はすごい石、宝石だと言っても誰も認めてくれない。王さまにその宝石を差し出すと偽物だと言われ片方の足の腱を切られてしまう。
それでもこの石は本当にすごいんだと次の代の王さまにそれを差し出した。その王さまもそれを認めなくてもう片方の足を切られてしまう。
それでも彼はこれは磨けばすごい石だと言い張った。
やがて次の王さまがそれの価値をわかってくれた。これはすごい石だと。—
卞和(べんか)璞(たま)を抱いて泣く
中国の故事を元に中村不折(なかむらふせつ)の描いた絵の題名。信州高遠美術館に展示してある。
関連ページ(外部リンク)伊那市:中村不折

そのいう内容を一枚の絵にしたものの写真が飾ってあったんです。
社長はその想いを常に胸の中に持っている人なんです。
人はみんな原石を持っていると。その原石を見つけてあげる、磨いてあげることでみんな輝くということが常に社長の根元にあるコンセプトなんです。
この工場もそこに働いているひとりひとりを磨けば、会社でみんなが光るひとりひとりになるんだよと。
そこが会社を立ち上げた時の原点になってます。「最終的には人なんだよ」ということですね。
最終的にクリアした商品が安全
微酸性電解水


詳細に説明をしていただく吉田工場長
ハセップ(HACCP)の認定を取るにあたっての目的は「食の安全」ですね。
今までの安全というのは検体が100体あるうち1体が正しければ全部正しいという考え方(抜き取り検査)だったんです。でもそれで「全部安全なの?」、「残り99は安全なの?」、それでは駄目だよという考え方で、入口から出口までのあいだ全部鍵をかけておこうと、ここまで入ってきたものは安全にしましょう、次はここですよ、と工場内で最終的に出すまでのあいだに鍵をいくつ掛けるかというのがハセップ(HACCP)の考え方になっています。最終的にクリアした商品が限りなく安全と言いきれることになるんです。
その中で電解水で殺菌して、菌の検査をした商品を安全としてます。
消毒もアルコールだと、食中毒件数が多いノロウイルスには効かないけど塩素系は効くんです。この工場で使用している電解水は正式には微酸性次亜塩素酸水と呼ばれ、以前から使用されている次亜塩素酸Naの約80倍の殺菌力があります。ここでは20ppm位で使用しています。
ハセップ(HACCP)においては、入口から出口までのあいだで電解水はすごく重要な部分を占めてますよね。
工場内には各所に電解水専用の配管がある
手洗いから野菜の洗浄にも微酸性電解水を使っている



この工場の高度化計画認定通知書(HACCP)は、日本惣菜協会で認定していただきました。
認定基準が厳しくて、無窓階状態にして虫もそこからは入れない、外から持ち込んだものを構内に入れないというのが大前提なんです。
荷物のような汚染されたもの、段ボールは一切入れないところがスタートです。そうして初めて汚染区から準清潔区といわれる部分に商品が移って作業をして清潔区に入るという流れですね。その間は人の行き来もルールに従います。ドライバーさんもそこから先は入っちゃいけませんと、工場の人間が受け取って区切りをしてます。
従業員に対しても厳しい制限がありますから、徹底した教育が大事ですね。工場内用コンテナもその区内で使うようにしてます。ちょっとだからいいかということにはならないんです。やむをえず出てしまった、出してしまった場合にはもう一度電解水処理をして、汚れを落として生菌を落としてから中に入れるという区切りがすごく大事なんです。

手洗いにしても洗剤で洗ってから電解水でもう一度洗ってます。
40秒間洗剤で手洗いしてから電解水で5秒殺菌することで初めて中に入れるということです。

1日だいたい400枚くらい洗います
器具洗浄機
洗浄機で洗うものはほとんどがコンテナです。1日だいたい400枚くらい洗いますね。
ラベルのきつい糊が取りきれないとか、原料を入れるコンテナの野菜くずがはさまって取りきれないものもあるので、それは洗浄後に電解水の槽につけてから取るという作業をしてます。
2.5分で6個のペースで洗ってます。もちろん手で洗うよりはきれいにはなりますよ。洗い方、使い方の工夫をするのが今後の課題ですね。
湯気熱回収装置付 GS660 Energy
本当に甘くておいしい
スチームコンベクションオーブン
ラショナル社 スチームコンベクションオーブン SCC202型
ラショナル社のスチコンはまだ実験段階ですけど、スチコンで調理する人参なんかは本当に甘いですよ。歯ごたえは調節次第ですし、本当に甘くておいしいですよ。素材の味が残ります。
茹でると流れてしまう栄養分も流れないで凝縮されますからね。
手の方が追いつかない状況です
乾式自動皮むき装置
DP-40型
皮むき装置の1日の処理量は少なくて500kg、多いときで1tくらいですね、週によって注文の数が違ってきます。
機械の方があっという間で、手の方が追いつかない状況です(笑)。
今のところは何も問題はありません。
じゃがいもやカブなどの加工で使用中
仕事へのこだわりと従業員への想いの強い根菜倶楽部様でした。
今回、訪問した株式会社 根菜倶楽部について
株式会社 根菜倶楽部
【販売協力店様】 
 SJMジャパン
■設置機器
・【微酸性電解水生成装置】PURESTER Mp-1000他
・【器具洗浄機】GS660 Energy
・【スチームコンベクションオーブン】SCC202
・【乾式自動皮むき装置】DP-40
株式会社 根菜倶楽部
茨城県古河市仁連1314-8
TEL 0280-23-2322
Home Page 株式会社 根菜倶楽部
PROFILE
神田 さよ
【長野県生まれ】
昭和24年8月7日生
大学から東京へ行きそのまま東京で生活、印刷関係の職場に就職。写植を25年経験する。
結婚後古河へ。自営で印刷業を始め、地域の学校新聞、広報を手掛ける。
若いときから食に興味がありお店経営の夢をかなえるべくカット野菜の工場で働いた。
PROFILE
吉田 照(てる)
【東京都足立区生まれ】
昭和28年11月6日生
3人兄弟の末っ子。
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