お客様探訪
第13回 有限会社 広峰
微酸性電解水生成装置
2013年6月15日取材
毎回、徳尾商事の商品をご使用いただいているお客様を訪ねる【お客様探訪】
今回は新潟県新潟市で独自の『冷凍寿司』を製造されている有限会社広峰様です。
常識にとらわれず、ひと一倍の研究と意欲に溢れる代表取締役社長 廣野浩之さんにお話を伺いました。
より遠くへ運ぶために凍らしちゃえ
他にはない独自の冷凍寿司
運送屋の下請けとして事業をしていたある日、東京であるものに出会ったんです。
それは当時、東京都内でブレイク中だった『宅配すし』。
写真付のメニューでわかりやすくて価格も手ごろ、直感的にこの事業はおもしろいと感じたんです。
すぐに親に「すし屋をやるからお金を貸して」と申し込んだ。それまで刺身も食べられなかったのに(笑) 
もちろん修行なんて事もしたことがなかったので、ご飯の炊き方もわからなかった僕がですよ。
いろいろ試行錯誤の末に大手宅配すしチェーンのフランチャイズとしてオープンしたんです。

オープンしたての頃は他に宅配すしというものがなかったので繁盛して売り上げも良かったです。
でもやっぱり宅配のピークが過ぎて、売り上げが落ちてきましたね。
そこで売り上げを伸ばすために大口の販売先としてホテルなどに営業をかけたんです。
価格自体や低温流通で宅配するという戦略も評判になったんですけど、宅配すしの範囲には限界があったんですよ。
売り上げを伸ばそうとすると、営業所の増設や管理者の育成など大変なことが多いので別な方法を考えることにしたんです。

それが『冷凍寿司』です。

単純発想ですよ。
「よし、より遠くへ運ぶために凍らしちゃえ」と(笑)。
もちろん冷凍寿司を食べたこともなければ、その存在すら知らなかったんだけど、食品が長持ちすると直感したんです。
おすし屋さんで修行をしていないが故に出た発想かもしれないですね。

冷凍寿司というものが販売はされていたので、実際に食べてみたけど、それは満足できるものではなかったですね。
電子レンジで解凍するタイプだったので巻き寿司やいなり寿司はあっても生寿司はなかった。
どうしたら生寿司を冷凍で提供できるのか考えた末に出た答えが、「チンしなきゃいいんだ」だったんです。
衛生的で考え抜かれた工場内
『冷凍寿司』を自然解凍で食べれればいいという発想から、どう凍結させるか2~3年かけてあらゆる凍結機を探しました。その中でこれという凍結機に改良を重ねて2~3ヶ月、薬品を使えばいかようにもできるということに気がついたんですね。「なんだ、食品って薬があるのか」と。
今度は薬の存在を調べて試作を始めたんですが、『味が美味しくない』、『食品添加物の表記』など大きな問題があったんです。
食品としての味が悪くては話にならないでしょ。
そこで『薬品を使わない自然解凍』とういうことを前提において再び模索を始めました。大学の先生をたずねたり、研究所に通ったりと。そうして『広峰の冷凍寿司』が出来あがったんです。

そして「冷凍寿司」だけで勝負しようと思ったんですね。
それなりに売上もあった市内3店舗を閉店して宅配の寿司の売上を捨てることにしたんです。 従業員は不安だらけだったと思いますよ。たくさんいた常連を捨てるのかとも言われました。銀行にも非難されましたね。
今までお世話になったお客様には申し訳ないと頭を下げて、店舗を閉めたんです。
そして3年前、店舗の従業員を全員引きつれて工場を作ったんです。

工場を作ってから何もないことに気づきました(笑)。
情熱とこだわりを語る廣野社長
物流を作らなきゃいけない、問屋、商社に名前を売っていかなきゃならないって。
それから県外に一軒一軒、門をたたき、電話して、営業して3年、ようやく400~500件のお客様ができました。

冷凍寿司のサンプルを持っていって営業したんですが、「評判が下がる」とか言われて最初は敬遠されましたよ。
断られながらも営業先の担当者がサンプルを食べた途端に表情が変わるんですね。
「これ冷凍したの!?」って。
食べてもらわなければならないんで解凍したものをパックで持って行くんですけど、「これ冷凍してないんでしょ」って言われますね。
あとは社長や料理長に冷凍したものを送って営業は終了します。
勝手に電話が来ますから、「ちょっと来てくれない?」って。
「あ、食べたな」と(笑)
微酸性電解水と衛生管理
広峰の新工場を作るときには衛生面に関するコンサルタントなどは入れず、すべて自分で考え抜いた工場設備をそろえました。いろいろな工場を視察して製造工程の流れ、自分たちの作業の「衛生と合う」物を抜粋していったんです。その衛生管理について考える中で微酸性電解水に出会ったんですよ。
作業には細心の注意を払われています
工場の設計の為に50か所以上は視察させてもらいましたね。HACCP(※豆情報参照)の認証を取られている工場も半分以上ありました。お願いして視察させていただいて、写真を撮ってもOKなところは写真を撮って持ち帰って自分たちの作業の「衛生と合う」物を抜粋したんです。
最初は信用しませんでした。「ありえない」と。
「菌をどう制御していくのか」という点で殺菌水に辿り着いたんです。

その中で微酸性電解水を知ったんですが、最初は信用しませんでした、「ありえない」と(笑)。
サンプルで微酸性電解水をいただいて、最初の検査がまな板1枚に黒い線を引いて4箇所くらいに分けて魚を切ったんです。
魚を切ってから中性洗剤で洗うのと電解水だけで洗うのと比べたんですが、この段階で細菌検査、拭き取り検査をしたら明らかに電解水の部分の菌抑制力が強かったんです。それでも信じられなかったので、何度も検査しました(笑)。何度やっても結果は同じで電解水の部分の菌抑制力がケタ違いに強かったんですよ。
食品で試そうということで、すべてを電解水で洗浄した容器、桶や、手も電解水で洗浄して、一方では中性洗剤、次亜塩素酸ソーダを使ったりとしましたが、比べる価値がないくらい微酸性電解水の方が菌の抑制力が強かった。臭いも少ないし、コストも安いしということで決めましたね。
【微酸性電解水生成装置】Mp-300ユニット

現在、工場の中にある洗剤は中性洗剤のみで、手洗いの洗剤と、中性洗剤以外の洗剤は使用していないんです。
3年を経過していますが商品の検査は毎日しています。他に空中浮遊菌や落下菌等も検査していますが、いつも良い結果になっています。すべてが電解水効果とは言いませんが、我々のソフト面もありますし、ソフトとハードが揃ったからだと思うんですけど、特別なことは何もしていないんです。

これだけの菌抑制力があるものは他にないと思うんです。私共にはこれが完全に心臓部ですよ。すべてこれで菌の抑制をするとすばらしい水と装置だと思いますよ。
食品が触れるものに関しては微酸性電解水
執着しないとわからないかもしれない。言われたから使っているとかは話にならないでしょ。
うちは、微酸性電解水とアルコールを併用してますが、微酸性電解水にも向き、不向きがありますから、用途によって、電解水、アルコールと使い分けてるんです。その意味を従業員がすべてわかっているので、キチンとした管理が成り立っていると思います。意味もわからないまま使っていると、全然違う方向に行ってしまいますからね。

今、食品が触れるものに関しては微酸性電解水が通ってないものはないですね。容器、桶、器具、入り口など触れるところではすべて微酸性電解水を使っています。

すべての蛇口に電解水がある
床は常にゴミ一つ落ちてない
随所に微酸性電解水を使用されている
微酸性電解水は、工場内に入るときの、靴、手洗いと、工場内の蛇口には引き込んでいるんで、水は青、お湯は赤、電解水はシルバーと色分けをして13箇所くらいありますね。
床の洗浄から、壁の洗浄、天井の洗浄とすべて電解水を使っています。社内においては、床の洗浄ですね。トイレの洗浄は1日3回行うんですが、微酸性電解水を流しています。

1日3度、触れるものすべての洗浄を行っています。ドアのノブや、電話機、電気スイッチなど触れる部分すべてです。

工場内にはバケツがあって、電解水が入っているんです。台を拭いてバケツに戻すんですが、また台を拭くときにそこから取り出して絞る工程で手の殺菌もされるんですね。

うちでは、ある日突然不定期で実行する「バッチテスト」というのがあって、作業中に呼び出してテストするんです。本人の目の前でフタをして名前を書いて検査をする。万が一、それで不十分な結果が出た場合はそこで指導する、ということを繰り返していくと工場内から自然に菌が無くなっていきます。

菌の持込は人間と食材からしかおきませんからね。そこを遮断していけば中に菌が入っていかない。靴なのか、人間なのか、菌が入る可能性を排除していくということです。
食材を入れるときも菌が入らないように気をつけますから。パック詰めの食材も信用していないんです。

基本的にダンボールを開けた納品は受け付けません。
作業が終わってから、すべての食材を微酸性電解水にくぐらせてから工場に入れます。もちろんダンボールは工場に入れません。
食材を冷蔵庫にしまってから、その後工場内の清掃を始めます。作業中の食材の持ち込みは一切認めていません。

どこで菌を止めるのか。菌を止める手段がうちはすべて電解水なんです。

トイレに行くときにも、作業着から着替えるとかも徹底していますね。
衛生管理の概念は小さなときから徹底しておけば、たとえ会社が大きくなっても概念自体は変っていかないと思うんですよ。
菌が出なければいいんです
食品を扱う意識の高さを強く感じさせられる
HACCPの取得を考えて工場を作ったんですけど、何度か勉強しに行くうちにHACCPの衛生管理はぬるいんじゃないかと思いましたね。
現場に合っていないこととか、経費の面とか、逆に汚染が広がる場合もあったりとか。

例えばHACCPで床に一方通行になるようにラインを引いたりするんですけど、床にラインを引かなきゃわからない会社はダメだと思うんですよ。
作業する者が「何故通っちゃいけないか」という事が分からないから菌が増えちゃうんですよ。「何故通っちゃいけないか」が根底から分かっていればラインは必要ないんですよ。それでHACCPを取得することをやめました。うちの衛生管理が一番だと思いましたからね。

大手の企業は取引するときにHACCP、ISOを取得しているか問い合わせがあるんですが、自信を持って「取得していません」と言っちゃいます。

それが原因で取引しなかったということは一度もないんですが、「HACCPを取ってます」と言うと工場の視察には来ないですよね。

HACCPを取ってませんと言ってから「御社は何をお望みですか?」と聞いても何だかわからないことが多いんですね。「結論として菌が出なければいいんですよね」と言うと「そうなんです」と。
そうして担当の方が視察に来る事になるんですけど、うちの工場を見て、みなさん安心して帰られます。見に来ていただいたほうが安心して帰られるんで、うちの場合はHACCPないほうが良かったなと。
HACCPってなに?
HACCPとは、製造工程全体の流れの中で、重要な管理ポイントを特定。そこを重点的に管理する一連のシステムです。製造工程内で安全を確保していくため、完成品の安全が保障されます。
独自の考え方で違いのある商品を生み出していく広峰さん。その広峰さんの今後の新商品や展開を最後に伺います。
『冷凍だから』できる商品がある
冷凍寿司を作るにあたって一番こだわった部分は?
元の状態に復元するということと、我々寿司屋から冷凍食品の会社に展開していったので、寿司の元々の出来上がりが違うと思います。
寿司のクオリティ、味には自身があります。どんなにすごい冷凍技術を使っても元の味を超えることは出来ません。最高の冷凍技術は元の味に戻るだけなんですよ。
妥協はまったくないんですね。
冷凍用に作ったのではなく、そのままを冷凍にしたという商品ですから。
冷凍だからといって安くするのではない。うちは寿司の技術がありますからね。太巻き、いなり寿司に関しては、凍らせた後のほうが美味しいという評価もあります。
こだわりの新潟産の米飯
米飯にしても使うお米は新潟産ですか?
もちろん新潟産で、冷凍に適した米の品種改良するまで話しが進んでるんです。元々、冷凍に向いた米飯の米から作る段取りを取っています。これは研究も大分進んでいます。
新潟の米を日本へ、世界へですね。商品としては今は納品先はどのあたりまで出されているんですか?
北海道もありますし、南は鹿児島くらいまでですかね。一部、韓国や中国もあります。
北海道にも納品されているということですが、地域によって味は変えるんですか?
やはり関西、関東、東北と味は変えてますね。
製品へのこだわり、地元新潟への思いも強い
細かいニーズに対応しているのもこだわりの配慮なんですね。 これからの展開で何か考えてらっしゃいますか?
我々の発想というのはお寿司よりも、冷凍米飯なんです。冷凍米飯はお寿司よりも味がない分、評判になりにくいんですが、お寿司の評判もよいので、少しずつ冷凍米飯の取り組みも始めています。これからどんどんこのシェアを延ばして行こうと思っています。
今日はお忙しい中お時間頂きありがとうございました。
今回、訪問した有限会社 広峰(ひろみね)について
有限会社 広峰(ひろみね)
【販売協力店様】 
 中静産業株式会社
■設置機器
・【微酸性電解水生成装置】Mp-300
有限会社 広峰
新潟県新潟市秋葉区滝谷本町1番9号
TEL 0250-21-3113(代)
FAX 0250-21-3112
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PROFILE
廣野 浩之
【新潟県新潟市生まれ】
1975.1.25生
医療関係の営業マンを経て大手宅配寿司のフランチャイズとして店をオープン。
販路拡大のため独自の「冷凍寿司」を開発した。
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