お客様探訪
第18回 干しいも生産者 白土様
乾式自動皮むき装置
2017年2月23日取材
毎回、徳尾商事の商品をご使用いただいているお客様を訪ねる【お客様探訪】
今回は茨城県茨城町で干しいもを生産されている白土和彦様、白土志津子様にお話を伺いました。
生産の方向性を変えた東日本大震災
白土和彦さんは茨城県生まれの茨城育ち。代々農家の家に生まれて農業を生業として生活してきた。
幼い頃、辺りではさつまいもと養蚕を行っていた中、白土さんでは、養蚕には手を出さずにさつまいもと落花生を栽培。
「先代には先見の明があった」と白土さんは語る。
化学繊維の普及により養蚕業は衰退、さつまいもと落花生を生産していた白土さんはその中でも乗り切った。

白土さん自身が農業を営む頃の主力商品はさつまいもと大根で、すべては順調に進んでいた。

運命を変えたのは、2011年3月11日。マグニチュード9.0の巨大な地震が東北・関東地方を襲った。東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)である。白土さんでは収穫を待っている時期、直接の地震の被害はなかったので収穫に影響はなかった。 しかし、地震後に発生した津波によって福島第一原発事故が発生。事故により、福島県や近隣県である茨城県で生産された農林水産品のうち汚染の懸念があるものについて出荷制限措置が実施された。
風評被害は瞬く間に広がり、出荷量が極端に減り、収入も激減した。

「そんなとき、茨城店舗設備さんから干しいもの加工をやらないかって話が来たんです」
干しいもは海沿いで海風の当たる場所が適していて、内陸に位置する茨城町の白土さんでは良い干しいもを加工する環境ではなかった。
「茨城店舗設備さんはそれらを解消する乾燥機を提案してくれたんです」
乾燥機を使うことにより場所や天候に左右される事もなく仕上がりも品質も安定して作れる。
震災から2年後、今まで作ってきた大根をやめて、干しいもの加工一本でやろうと決意した。
100%天然、自然食品である干しいも。子どもから大人まで楽しめる。
さつまいもの状態を見極めることが大切
丁寧にひとつひとつ検品されている
現在販売中の3タイプ 左から 丸干し/角干し/平干し
乾燥中の丸いも丸干し
干しいもはどちらで販売されているんですか?
直売所ですね。インターネットでの販売はやってません。お店か直接ここに来ていただいた方に販売しています。あと、銀座にある茨城のアンテナショップでも販売してます。
お客さんは地元の方ですか?
そうですね、地元と、直売所には東京など関東からも来ますね。今は交通アクセスも良いので。
現在栽培しているさつまいもの品種は?
紅はるかとシルクスイートです。干しいもに加工するのは紅はるかですね。
干しいももいろいろありますが現在何種類くらい商品にされているんですか?
スライスした平干しと、スティックタイプの角干し、丸いも*の丸干しです。
干しいもの加工の時期はいつ頃どのように作られるんですか?
11月から3月くらいにかけて作ります。時期的に年末の贈答用で欲しがる方が多いんですけど正直、さつまいもの糖化の進んだ年明けの物の方が美味しいと思います(笑)。 以前はすべて手作業で蒸かして剥いて、仕上げ剥きの二度剥きだったんですけど、皮むき装置を導入してからは蒸す前に皮を剥いて、その後にも調整で剥いて、最後に仕上げで剥く三度剥きをしています。それでもすべて手作業よりもかなり作業は早いですね。 手作業でも皮むき装置を使っても仕上げで細かな黒い部分を丁寧に取ってやらないと雑味が出てしまいますからね。
今は干すのは平干しで3日、丸干しで1週間です。
さつまいもの熟成が干しいもの仕上がりを左右するのでさつまいもの良い状態を見極めて加工してやることで良い干しいもが作れるんです。
丸いもの丸干し
紅はるかと*丸いも
ここでいう丸いもとは着いもの中で通常の流通には出荷できない小ぶりないもの事。
着いもの数が多いのが特徴の紅はるかだが、丸いもの発生率も多い。
干しいもの白いやつ
干しいもでよく見かける表面が白い粉でいっぱいになっているものは、芋の糖分が表面に出て結晶化したもので、カビではなく一般的には糖分なので甘い。
しかし、現在の干し芋はやわらかくしっとりしたものが主流で、カビが生えてしまう場合もあるので保存方法には注意が必要。
生産から加工まで、そのいもに合った工夫がある
皮むき装置はどうやって知っていただいたんですか?
茨城店舗設備の専務さんに勧められたんです。テストもして去年の10月に導入しました。
【乾式自動皮むき装置】DP-40T
皮むき装置を導入して何か変わりましたか?
それはもう、何もかも楽になりましたよ。早い早い。うちは丸干し用の小さいいもも平干し用の大きいいもも両方剥いていますが、特に丸いもの加工は全然違いますね。
丸いもは本来、生産者だけが美味しいと知っているもので加工に手間がかかるから多くは捨ててた材料なんです。 皮むき装置が来てからは捨てるものはひとつもなくなりましたよ。重宝してます(笑)。
製造方法についてはどうですか?
変わりましたね。今までは皮付きのまま蒸かしてから剥いてたものを、皮を先に剥いてから蒸かすようになりました。
作業の工程は増えたんですけど実質の作業量は減りましたよ。 蒸かす時間は、皮を剥いてから蒸かすと冷える時間が早くなるので逆に長く蒸かすようになりました。
従来の製造方法を変えることで味や品質が変わるっていう人もいるんだけど、ちょっとの工夫で味や品質は変わりませんよ。
味や品質が変わるのは、糖化の状況に合わせて干しいもを作れるかどうか、さつまいもの保管方法や糖化させながら熟成具合を管理すること。それさえ間違わなければ先に皮を剥いても良いものができる。
干しいもの糖度は1番出来のいいもので20度くらいになる。普通の平均でだいたい15〜16度くらい。
糖化の過程で熟成を見極めるのは大変だけど、そこがおもしろいところでもあるんです。
だからこそ、ちゃんとしたさつまいもを原料として使うことが重要になるんです。
さつまいもを選んだり管理するところが干しいも作りの腕ですね。
皮むき装置について今後こうなればなどの要望はありますか?

もっと量を剥けるように(笑)。
今は蒸かす直前に剥いてるんですけど、前日に剥いておいても変色しないような技術を開発して欲しいですね。

現在は作られているのはさつまいもだけですか?
連作障害があるのでうちは3年さつまいも、1年小麦ですね。
小麦はそばのつなぎにも使えるので。そばは地元の特産で、常陸秋そばなどが有名ですよ。おいしいですよ。
特産といえば私個人的にいもがらの入ったけんちん汁が好きなんですよ
いもがら入ったつけけんちん蕎麦もあるね。ここら辺でも食べられるね。
茨城県はいろいろな農産物を作っていますが、どれもすごくいいものが作れるんですよ。ブランド化やPRはうまくないけれど(苦笑)。
地元とさつまいも、干しいもへの深い愛情のあるお話をいただきました。本日はお忙しい中ありがとうございました。
今回、訪問した干しいも生産者 白土様について
【販売協力店様】 
 茨城店舗設備株式会社
■設置機器
・【乾式自動皮むき装置】DP-40T
干しいも生産者 白土様
茨城県茨城町小鶴1782
PROFILE
白土 和彦
【茨城県生まれ】
1956年7月11日生
茨城県で生まれ、茨城で育つ。土方仕事をしたこともあるが早くに家業の農業を受け継ぎ、それを次の世代へと受け継ぐ。
PROFILE
白土 志津子
【茨城県生まれ】
和彦さんと同じく茨城県で生まれ、茨城で育つ。
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