お客様探訪
第8回 壺屋総本店
微酸性電解水生成装置
2010年11月9日取材
 
毎回、徳尾商事の商品をご使用いただいているお客様を尋ねる【お客様探訪】
今回は北海道旭川市で80年以上の歴史を持つお菓子屋さんの株式会社壺屋総本店様です。
『壺最中』『き花』などのヒット商品を生み出した経緯や自社農園などのお話をいただきました。
 
   
 
 
 
年季の入った機械と職人の手作りにより丁寧な作業がおこなわれています
_『壺屋総本店』についてお聞かせください。いつごろからの会社なのですか?
村本常務
1929年(昭和4年)創業から今年で81年になります。
創業者の村本定二が東京での修行を終えて旭川に戻り独立開業したのが最初です。
当時は甘味なお菓子が気軽に食べられる時代ではなく、甘いものは貴重でしたから、甘いお菓子作りを試行錯誤しながらという日々だったと思います。
創業5周年の記念に作った『壺最中』がヒットしまして基盤商品となりました。
『壺最中』発売以前はいろいろなお菓子を作っていたと思いますが、かなり昔の話ですので何を作っていたかは「よくわかりません」というのが正直なところです(笑)。


_ところで『壺屋総本店』という社名にはどういった由来があるんですか?
村本常務
会社の入口に飾ってある中国の格言の中に『壺』の中に宝物を入れてあると表現されています。大切なものは壺にしまっていたということです。
『壺屋』の『壺』の中にも夢だったりひとりひとりの思いなどの宝物が入っていますようにと願っています。 ・・・と、言うようにしています(笑)。
正直、これも創業時の話なので詳しいことはわからないんです(苦笑)。

_もともと和菓子からとのことですが、洋菓子を始めたきっかけはあったのですか?
村本常務
会社が北海道なので和菓子に使う材料の他にバターや牛乳などの乳製品が身近にあったんです。
_あ!そうですね、もともとバターとかあったんですね。
村本常務
そうなんです。京都とかのお菓子屋さんは昔はバターなどの材料が手に入りづらいために和菓子文化なんですね。うちもそうですが、洋菓子屋さんが和菓子の技法を取り入れたり、和菓子屋さんが洋菓子の材料を使って製造したりという総合的なお菓子が北海道の特徴ですね。お互いの良いとこどりのような製品が多くあります。
札幌のデパートに出店する際にバイヤーさんが言っていたのですが、北海道発の菓子売り場は「和菓子」「洋菓子」の区別が付けづらく苦労したそうです。
本州のデパートのように「和菓子コーナー」「洋菓子コーナー」とエリア分けができないって。
それで「北海道道産品コーナー」のようになっているんですね。

_言われてみるとそうですね。

 
 
 
アーモンドの香ばしさが特徴的な『き花』
_壺屋さんの代表的なお菓子である『き花』について聞かせてください。
『き花』は個人的に大好きなお菓子なんですが誕生の秘話みたいなのってありますか?

村本常務
『き花』は1982年(昭和57年)に誕生しました。
当時、夏場にお菓子が売れなくて暇だったので、多少手間がかかっても美味しいお菓子を作りたいねって当時のスタッフと取り組み始めたんです(笑)。
北海道の夏は「アイスクリーム」が主流だったのでお菓子を食べる習慣が無かったのでしょう。本州はアイスクリームよりも夏場はかき氷です。氷菓子はアイスクリームよりも軽いので、かき氷の後に水ようかんなどの他のお菓子も食べれるんです。
北海道はアイスクリームでお腹がふくれるので・・・。
だから夏場は結構暇でしたね。試行錯誤をくり返して出来たのが『き花』です。
1987年(昭和62年)、モンドセレクション(世界食品コンクール)に出品したんですよ。初めは銀賞でしたが翌年から2010年の現在まで23年連続で金賞をいただいています。
もともとは品質検査の意味合いで出品したんですが、23年連続で金賞を受け続けているのは日本のお菓子の中でもおそらく1番だと思います。
『き花』はお客様の評価もいただいている商品なのでたくさん作りたいんですが、今も完全な機械化には出来ない、どうしても手作業があるんです。
当時から製造には他のものよりも手間が掛かるので工場からは今でも良い顔されないんですが(笑)。


 
_『き花』にはどういう意味があるんですか?
村本常務
『き花』はもともと『霧華』という漢字を書いてダイヤモンドダストのことです。もともと大正時代の歌人齋藤瀏がダイヤモンドダストのことを詩歌でこう表現したそうです。
あるとき交流の深かったコスモス短歌会旭川支部の松田一夫氏から教えていただいた『霧華』の言葉の響きや語意がお菓子とマッチしたので、イメージをやわらかく『き花』として名称を決定したんです。
ちなみに本当のダイヤモンドダストは上川地方でしか見られない現象なんですよ。


   
  「霧華」(きばな)
  ダイヤモンドダストのこと。武将歌人である齋藤瀏が、短歌に「霧華」(きばな)と言い表した作品が最初とされ、彼による造語だという説が定着している。
  ダイヤモンドダスト【Diamond dust】
  大気中の水蒸気が昇華してできた、ごく小さな氷晶(氷の結晶)が降ること。細氷(さいひょう)。
   
 
 
北海道グリーン
_『き花』にグリーンのがありますがあれは?
村本常務
あれは環境サミット讃菓で『北海道グリーン』という商品です。グリーンの色はアスパラで、表面にパンプキンシード(かぼちゃの種)をトッピングしています。
これは皮が無い種で歯ざわりがとてもよい食感なんです。ペポカボチャという品種の種です。
このパンプキンシードは今はほとんどが中国から輸入されています。
『北海道グリーン』は地産地消にこだわって北海道で生産されたペポカボチャのパンプキンシードを使用しています。
今は農商工連携事業に参加しペポカボチャの種で新しい商品を開発中です。
上北課長

新商品は『き花』とは違うものになると思います。
_楽しみですね。
 
 
 
 
 
_ところでお店に『アロニア』のジュースとかゼリーとかありますが『アロニア』とは何ですか?
村本常務
「ナナカマド」が旭川の木なんですが、現会長が若いときからなんとか「ナナカマド」を使ってお菓子を作れないかと考えていてもどうしても作れなかったんです。あれはスズメしか食べないんです(笑)。
そこで『アロニア』は「ナナカマド」に構造が似ているし、アントシアニンがブルーベリーの2倍も含まれていてお菓子に最適だったんです。
当時のアイデアを活かして商品として完成させたものです。
もちろん食べやすいように加工しますが。
使っている『アロニア』は自社農園で栽培しているものです。 今年も9月に社員総出で農園に行って収穫して来ました。雨が降っててたいへんでしたけどね(笑)。
上北課長
『アロニア』は着衣につくと色が落ちないので大騒ぎになりますね。
村本常務
『アロニア』のおかげで会長の思いが少し違うけど実現した感があります。 『アロニア』は『雑木林』(大雪山麓の四季をイメージしたソフトな口あたりのお菓子)にも使用しています。


   
  アロニア・メラノカルパ
  《植物的分類》北米原産でバラ科に属す。花の構造がナナカマドに似ていることから、ロシアでは「黒い実のナナカマド」と呼ばれるアロニア。このアロニアにはブルーベリーやハスカップよりも多くのポリフェノールの一種であるアントシアニンが含まれていることから、ロシア、北欧では食品加工品として広く利用されています。
テレビ等では「ブラックチョークベリー」という名で紹介されています。現在北海道内のアロニア産地は伊達市大滝区、旭川市、富良野市、千歳市、江別市、北見市。道外では長野県松本市奈川村、岩手県盛岡市で栽培されています。
 
 
 
 
 
生にこだわるクリスマスケーキ
_これからクリスマスシーズンですがクリスマスケーキはどのくらい売れるんですか?
上北課長
毎年6000個~7,000個は売れます。冷凍はしない生にこだわっているので12月の22日、23日の工場は戦場です(笑)。
他の大きなところでは10,000個とか売れてますけど、当社は冷凍しないので6000個~7,000個の手一杯のところで頑張っています。この期間は和菓子の職人もクリスマスケーキを一所懸命作っているので和菓子の作業場はがらんとしています(笑)。
僕は通路確保などの指揮していてそのときは勝手が違いますね。このときは工場長も一作業員になって一所懸命作業しています。


_クリスマスケーキのデザインは毎年変わるんですか?
上北課長
これは毎年変えています。前年度の良いところ、悪いところを社内で協議して品評会も開催し、女性社員の結構辛口なコメントを受けつつ(笑)、その年の最終的なデザインを決定します。

 
村本常務
うちはバタークリームも作っています。札幌の知人から「今どきバタークリームのケーキは売れないだろう」と言われるんですが、私たちはずっとこだわってバタークリームのケーキを作ってきて、「バタークリームが好き」というお客さんがいっぱいいらっしゃるんです。
だからバタークリームのケーキを失くす訳にはいかないんです。


_「壺屋」さんがこだわって作ってきたバタークリームのケーキが大好きだっていうファンの方がいらっしゃるから旭川でそれだけ売れるんですね?
村本常務

・・・たぶん、そうでしょうね(笑)。
上北課長
旭川のお客さんの評価はいただいていますね。
 
 
 
 
 
微酸性電解水生成ユニットと貯水タンク
 
蛇口をひねると電解水が出ます。
上北課長
従業員のインフルエンザの予防で手洗いやうがいに使用したり調理台の清掃に使っています。その調理台の上では安心して『き花』を製造していますね。
外気を導入する換気口のところで超音波式の加湿器を使って空気の洗浄をしているんですが今まではどうしてもカビが発生しやすかったんです。微酸性電解水で清掃することでカビの発生が極端に減りました。
カビが発生しやすい生菓子もあったんですが、製品自体ではなく作業部屋の加湿等にピュアスター水を使用することでカビの発生がほとんどなくなりました。
ですから効果はかなり実感しています。


_逆にこうだったらななどという改善点はありますか?
上北課長
皆が口を揃えて言うのは、現状ポリタンクに電解水を溜めているんですが利便性が悪いという事です。そこでしか使えないのでホースの取り回しを含め配管を工夫しないといけないと思います。
配管は塩ビでするのが一番良いという話しも聞きましたので、その辺が改善点ですね。
水道水で作るので、北海道では冬に向かってつらいと言う声もあります。蛇口ひねると最初は暖かくてもそのうちに冷たくなってしまうんです。貯水タンク自体を暖められないですか?

_出来ますよ。微酸性電解水は40℃くらいが一番効果がありますからね。あとは費用の問題が・・・(笑)。
上北課長
あとは濃度を少し濃くすると塩素の臭いが強くなってしまうのがちょっと・・・。
_濃度の調節は可能ですし、一般的な菌や大腸菌群は元々の濃度を少し薄くしても殺菌効果は十分に得られると思います。
上北課長
そうですか、そうします(笑)。

_従来はどのような殺菌方法だったんですか?
上北課長
次亜塩素酸ソーダの原液を水で薄めて普通に使ってました。臭いや手荒れの問題や床の清掃に使っても傷んでしまったりしてたんですが微酸性電解水でかなり改善されました。
従業員の手荒れもほとんどしなくなったのでかなり実感しています。
村本常務
僕は以前に栄養学を学んだりしていたので電解水は正直なところ信用してなかったんです(笑)。水の新しい商法だと思って疑ってましたから(笑)。
でも実際使ってみて今は効果を実感しています。

_他の殺菌剤との違いや強酸性の電解水との違いは、きちんと説明して納得してもらうしかないんです。
村本常務
簡単に理解できないからたいへんですよね(笑)。

 

 


_何気なく食べていたお菓子にも長い歴史や時代背景があったのですね。
今度食べるときにはより一層おいしく食べられるような気がします(笑)。
今日はお忙しい中ありがとうございました。
 
 
 
今回、訪問した壺屋総本店について
 
株式会社 壺屋総本店

本社(なゝ花窓館)
〒070-8045 旭川市忠和5条6丁目5番3号
TEL:0166-61-1234 FAX:0166-62-0647
他、北海道内各所にて販売しています。
Home Page : http://www.tsuboya.net

【販売協力店様】 
金丸富貴堂株式会社
■設置機器
・台場工場/ 【微酸性電解水生成装置】MP-240
・忠和工場/ 【微酸性電解水生成装置】MP-240(2010年8月導入)
 

常務取締役  S48.07.23 37歳
大学卒業後・・・福島県郡山市「(株)柏屋」修行のため入社、滋賀県近江八幡市「(株)たねや」修行のため入社を経て平成15年「壺屋総本店」入社、現在に至る。

 
製造部二課 課長  S48.10.4 37歳
平成4年「つくしんぼ緑ヶ丘店」入社 洋菓子部門所属、平成6年「酪雪食品 台場工場」入社、
平成17年「壺屋総本店忠和工場」入社、現在に至る。
 
 
 
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