今回は中札内村でチーズをはじめとした乳製品の製造を行う株式会社十勝野フロマージュの代表取締役会長 赤部 紀夫様と代表取締役社長 赤部 順哉様にお話を伺いました。
代表取締役会長である赤部紀夫氏は函館で生まれ5歳の時に浦幌町へ。
森永乳業の十勝工場に40年近く勤めて、粉乳や練乳を扱っていた。10年ほど系列会社で働いていたときにチーズを作ることになったのは54歳の時だった。
「街の特産品として何か出来ないかと町民からの話で、会社でチーズ作りのプロジェクトチームを立ち上げ、担当になろうと私から手を挙げたんです。
その時はチーズを作りたいというより、粉乳とか練乳を作ることに飽きていた(笑)。新しいものが作れるならと、そこから始まった」
チーズを始めて2、3年。チーズ造りが面白くなってきた時にはあと数年で定年、こんな面白いこと定年で辞めてしまうのはもったいないなと思い、定年後に村に来て、会社を設立した。
郊外か、帯広市内に隣接する町でやろうと思って、幕別、音更、中札内、芽室で場所を探して歩いて回ったんです。
中札内村でお昼に美味しいパスタ屋さんに入った時に出てきた水がとても美味しかった。
この水は浄水器の水ですかって聞いたらこれは蛇口から出した水ですよって言われたんで「えー」って。
こんな美味しい水があるのか、それならということでここに決めたんです。
人間、美味しい水飲んだら体にいいでしょう。牛だって美味しい水飲んだら美味しい乳を出すだろうと。
中札内から10kmほど離れた所に浄水場があってそれが帯広とか十勝管内の水瓶になってるから水が良いんですよ。
カマンベールチーズが6種類、クリームチーズ、ラクレットチーズ、その他にバター、アイスクリーム、チーズケーキですね。
チーズを勉強するためにフランスに7回くらい行ってるんですが、2回目か3回目のときにフランスのあちこち回ってオーベルジュ(オーベルニュ)に行ったときにレストランに入ってステーキを食べた時の付け合せに「アリゴ」が出てきた。
馬鈴薯とチーズでとても美味しかったから作ろうと思ったんです。
難しいからこそやり甲斐がありますね。
中でもカマンベールが難しいんです。
会社を作りかけのとき、フランス人の先生に「ムッシュ赤部、何をつくるんだ?」と聞かれたので「私はカマンベールを作る」と言ったんです。
すると先生に「やめなさい、カマンベールは一番難しいチーズなんだ。他のチーズを作って、それからカマンベールチーズを作りなさい」と言われたけど「私はカマンベールしか作らない」と言い張ってカマンベールチーズを作ったんです(笑)。
一番の理由は会社がカマンベールチーズを作ると言ったから(笑)。あと、私自身が食べてもカマンベールチーズが一番好きだからですね。
青カビと白カビと喧嘩するんですよね。青カビが白カビに勝っちゃう。だから同じ工場では作れないんです。
牧場はそこ(十勝野フロマージュさんのとなり)に見える「平岡牧場」さんの牛乳を使っています。
タンクローリーの牛乳は使わないので、「平岡牧場」さん指定で仕入れてます。
大手メーカーさんのチーズは出来上がってから加熱するので乳酸菌が生きていない。
だから大手メーカーさんチーズは賞味期限が半年くらいあるけど、うちは乳酸菌が生きているので60日くらい。
あとは価格だね(笑)。
全然違いますね。乳酸菌がないとスナックのようですね。
それと、最近の話ですがカマンベールチーズの白カビは認知症の予防に効果があるっていう研究の論文が出ました。
そうなんです。元々吹奏楽をやっていて、十勝の中学校で音楽の教諭をしていました。その後産業能率大学に行って経営を学びました。
吹奏楽は今でも帯広交響楽団でやってます。
チーズってヨーロッパの文化で、クラシックもヨーロッパの文化で、なんとなく似てると思うんです。
チーズはいろんな種類がありますけれども、いろんな作曲家がいろんな曲を書いてそれを演奏する人がいて、聴く人がいて、チーズもクラシックもいわゆる職人が作るわけですよね。
チーズにも楽譜みたいに作り方があるんですけど、演奏家にも個性があるようにその職人によって出来というものが全然変わってくるんです。
それを聴いたり、食べたりというところが似てて面白いです。
プリンを作ってみようかなと思っています。スイーツ以外の食品の加工もやってみたいと思いますし。
2008年の洞爺湖サミット開催の時、サミットで使う料理の食材を北海道が募集してたので、うちのチーズを応募したら採用されたんです。
今は2020年の東京オリンピックに向けて海外に行ったり、新しいチーズを開発中です。
東京オリンピックに向けてはイスラムの方のハラール認証といって動物からできたものを食べれない文化があるんです。
レンネットというチーズを固める酵素が牛の4つ目の胃袋から取れるんですよね。
ハラールの認証を取ったレンネットを使えば大丈夫らしいんですけど、気をつけて作らないと。
日本の大会で賞をもらうとやっぱり嬉しいですね。
賞ではないですが「おいしいカマンベール」「ブリ・ド・トカチ」「田楽みそ漬けカマンベール」はJALの国際線の機内食に採用されました。
場所による違いは特別ないかな。どの商品も問屋さんに出しているのでそこから先はわからないんです(笑)。
十勝野フロマージュさんでオススメの商品は?
カマンベールチーズとかブリ・ド・トカチとか賞をもらってるんでオススメですね。
蝦夷農カマンベールは、「銀の匙」の荒川農場の生乳を使ってるんです。
カマンベールアイス、カマンベールソフトが一番人気ですね。
カマンベールを作ってるからこそカマンベールアイスが作れるんです。
チーズと同じように良い原料乳を使っているということですね。
自社の商品を多様化して増やそうと考えたんです。クリームチーズを作っているからチーズケーキも出来るということで始めました。
今ではマンゴーを使ったり、トマトを使ったり、十勝の野菜を使ったチーズケーキを作ったりしてます。枝豆のチーズケーキなどは帯広の藤丸百貨店で販売しています。
電子レンジ、ホットプレート、トースターなどで具材に乗せて食べます。
やはり自然ですね。自然や緑がいっぱいあるし、日高山脈があるし、水がきれいで美味しい。冬は雪が多いですね。
チーズグレーターとかアイスクリームやケーキに使う機材、器具全般に使ってます。
以前は人間の手でブラッシングしてたんだけど、機械は乳分さえ落としてしまえば全部自動的にやってくれる。すごくいいよね。
従業員がすごく楽になったと思います。時間的にも早いし、完全に洗えるし、綺麗に仕上がるので。
先輩が札幌にいて、微酸性電解水がいいということは知っていたので、その機械と一緒に導入しました。
全部に使ってます。工場に入ってる水は全部ピュアスターになってますから。
会社を始めた時からピュアスターを使っているから、使わなかったらどうとかはわからない。
ピュアスターを使わないということが考えられないですね。
工場内の古い配管で、銅管を使用しているところはピンホールができてしまうとか、錆びやすいということはやはりあるとは思いますね。塩ビ管だと問題ないと思います。
他の殺菌水を使ったことがないので比較はできないですけど。
お菓子を作ることになって色々探したんですけど、お菓子を作るのに必要だったので導入しました。
スチコンでは星のチーズケーキ、雪のチーズケーキ、カマンベールチーズケーキを焼いてます。
プログラムというか機能性が高くて空気を回すのでムラが少ないです。
商品ごとにプログラムをセットできるのでとても重宝しています。
現在スモークチーズを試作中です。
株式会社 十勝野フロマージュ
北海道河西郡中札内村西二条南7-2
TEL:0155-63-5070
代表取締役会長
森永乳業の十勝工場で勤め、仕事でチーズ作りを始めてからチーズに魅了された。
代表取締役社長
十勝の中学校で音楽の教諭在職中に教育大学の大学院に行き、教諭を辞めてから産業能率大学に編入して経営を学ぶ。